2020年度(令和2年度)

管理番号 分野 研究テーマ
R02-01 物理 滑りにくい砂の条件

要約

体育祭のリレーでは,滑って転んでしまう人が必ずいるので,どのような砂なら滑りにくいのか調べたいと思った。運動場の砂に関する研究は,1961 年の京都大学農学部演習林報告として「運動場走路の構造に関する研究」があるが,この論文でも触れられている通り,運動上の砂において重要なことは,雨が降った後でもただちに使用できるかどうかや,維持の容易さや,経済性である。そのことは,砂を販売している企業のホームページからも見受けられ,砂と靴底の滑りやすさについて,砂に注目して実験を行っている先行研究は見つからなかった。

R02-02 生物 マダガスカルゴキブリの学習能力

要約

家にいるゴキブリは,水や食料のあるところでよく見かける。それはゴキブリが水や食料の位置を嗅覚だけでなく,視覚でも学習しているからなのではないかと考えた。そこで,生後4 ヶ月程度の子どものマダガスカルゴキブリを使って,視覚による学習能力の有無を調べる。

R02-03 物理 風洞製作とリアウィングの形状とダウンフォースの関係

要約

リアウィングは車体を地面に押さえ,安定させるために取り付けられており,そのときにリアウィングによって発生する力はダウンフォースと呼ばれる。我々は,実験室の机の大きさ程度の吸い込み型風洞装置を,先行研究をもとに製作し,車体周辺の空気の流れを可視化し,より大きなダウンフォースを生むために8 種類のリアウィングの模型を作り調べた。その結果,車体とリアウィングの間を流れる風の風量を多くすることでリアウィング下部の圧力が小さくなり,より多くのダウンフォースを生じることが分かった。

R02-04 地学 台風進路データ処理による小笠原気団の動きの予測

要約

台風進路を数学的に分析し,小笠原気団の位置や動きを可視化し,性質を調べた。また,小笠原気団が常に,その名前の由来である小笠原諸島周辺に本当に位置するのかを調べた。研究には,気象庁がHP 上で公開している台風観測データを用い,台風進路が放物線の形に似ていることからExcel を用いて2次関数で近似し,月別における気団の動きや小笠原諸島の位置の関係を考察した。

R02-05 数学 World of Function ~Regularity of Rose curves~

要約

教科書やインターネットで研究のテーマについて調べていたところ,特殊な曲線が多数存在することが分かった。その中でも正葉曲線(Rose curves)は変数の値を変えると特にグラフの概形が大きく変化したのでこれに興味を持ち,調べることにした。

R02-06 化学 輪ゴムの劣化

要約

私たちが所属している弓道部の練習で使用しているゴム弓を金属フックにつるしていると,金属に触れているゴムの部分が傷んだのではないかと思った。そこで,ゴムがなんらかの影響で劣化していると考え,何が影響しているかを調べることにした。

R02-07 物理 FF機の主翼のディンプルの効果

要約

ディンプルとは,物体の表面に施された窪みのことであり,物体が飛行するときに空気抵抗を軽減させる効果をもつ。例えばゴルフボールの窪みがその類いである。我々は,ディンプルが飛行機の主翼にも応用できないかと考え,コントロール装置を持たずに自由飛行する模型飛行機であるフリーフライト機〔以下FF 機とする〕の主翼にディンプルをつけ,飛行実験を行った。その結果,飛行時間が増加することが分かった。

R02-08 物理 心柱の制振効果 ~ジェンガを用いた考察~

要約

日本では年間平均1,000~2,000 回もの地震が発生している。その数は世界の中でもトップクラスである。私たちはそのような地震大国・日本において,世界最古の木造建築である法隆寺が1300 年以上もの間,地震で倒壊していないことに興味を持った。そこで,法隆寺について調べてみたところ,塔の中央に「心柱(しんばしら)」と呼ばれる木製の柱が地震の際に,振り子のように動くことで塔の横揺れを軽減することが分かった。私たちはこの心柱の制振効果に着目して実験を行うことにした。

R02-09 化学 昆布の乾燥方法と出汁のグルタミン酸量の関係

要約

本校先輩のSSH 先行研究を読んで,昆布に興味をもった。そこで調べられていなかったことで,昆布の乾燥方法の違いによって出汁に出るグルタミン酸の量に差が生じるか疑問に思ったので,調べることにした。

R02-10 生物 粘菌のpHの変化に対する反応

要約

粘菌は原核生物の仲間で様々な形態に変化する。培養最適温度は20℃で暗いところで飼育する。私たちは粘菌の耐久性に興味を持ち,特に変形体と菌核のpH に対する反応について実験した。まず,先行研究を参考にし,酸・塩基に対する粘菌の反応を調べた。粘菌を酸・塩基の近くに置くと,変形体・菌核ともに強酸,弱塩基・強塩基に近づいた。しかし,弱塩基・強塩基にはNa+を含んでいたため,実験の結果が塩基によるものなのか,Na+によるものなのかが分からなかった。そこでNa+を含む酸性・中性・塩基性溶液とNa+を含まない塩基性溶液で同様に実験した。pH の値に関わらずNa+を含むものには近づき,Na+を含まないものからは遠ざかる傾向があった。

R02-11 数学 ビュフォンの針 ~正2n角形で研究してみよう~

要約

図形が正2n角形であるとする。この図形を無数にある等間隔の平行線に投げ入れたとき,図形が平行線に触れる確率を求め,公式化する。*奇数角形は最長の対角線が回転の中心を通らず,条件設定が難しかったので,研究の対象外とし,正2n角形だけを調べることにした。(nは2 以上の自然数)

R02-12 生物 オリーブの抽出物がもつ抗菌作用

要約

オリーブには,抗酸化作用(1)・抗糖化作用(2)・抗菌作用(3)があることが知られている。本研究では,生葉・乾燥粉末葉・枝の抗菌作用の有無を調べるとともに,抗菌作用の生理活性物質の抽出を目的としてどのような抽出方法が適しているのか実験を行った。本研究では,オリーブ葉を蒸留水,エタノールで抽出した抽出液が,大腸菌に対して抗菌作用があるか観察を行った。乾燥粉末葉を蒸留水で抽出した場合,1 時間以上抽出したものにオリーブの抗菌効果がみられた。乾燥粉末葉をエタノールで抽出した場合,30 分以上抽出したものに,オリーブの抗菌効果がみられた。

R02-13 生物 オジギソウの光伝達経路について

要約

オジギソウとはマメ科ネムノキ亜科の植物の一種で別名ネムリグサという。オジギソウは,接触刺激によって生じた電気刺激が,葉柄などの細胞の膨圧を変化させることにより,枝全体がおじぎするように下へ曲がる運動である膨圧運動を行い,夜になると自然にその葉を閉じ,昼になると開く就眠運動を行う。先行研究より就眠運動は昼夜の明暗刺激によって引き起こされることが分かっており,葉が受けた光刺激は他の葉にも伝わっているのだろうかと疑問を持ったことから,この研究をはじめた。オジギソウの上の葉のみに光をあて,下の葉に光刺激が伝わっているか調べる実験と下の葉のみに光をあて上の葉に光刺激が伝わっているのか調べる二つの実験を行った。これらの実験によってオジギソウの光刺激は,植物体の上部から下部のみへ伝わっていることが分かった。

R02-14 生物 酵母の分離とその性質

要約

発酵食品や花,果実から酵母の分離を試みた。発酵食品(味噌,塩辛)や花(バラ,サツキなど),果実(ブドウ,桑の実など)から酵母を分離した。分離酵母について,耐糖性,耐塩性,耐アルコール性の試験を行った。分離したいずれの酵母も,高いスクロース濃度では初期の増殖はゆっくりしていたが,最終的な増殖量は高濃度ほど高かった。また,分離した酵母の中で機能的に特徴のある酵母が分離できた。多くの酵母は,耐塩性は示さなかったが,塩辛から分離した酵母は,1 mol/L のNaCl でも増殖した。

2024年01月28日