飛行魚”そらとぶさかな”  (作者:睦月かずみ)


それは まるから いつも ちらりちらりって のぞいているんだ
しろいもじゃもじゃの はえたぼうで
さきっちょに ぴん<いろの ニクキュウっていうのが ついていて
とっても かわいいかたちを しているんだ
でも そのまたさきっちょには
ぎらぎらとひかる するどいツメが はえていて
とっても こわいかたちを しているんだ

ぼ<は このしろいもじゃもじゃのぼうの
しょうたいを しっているんだ
これはね ねこっていうどうぶつの「て」なんだ
ぼ<は ねこが にがて
なぜかっていうとね ねこは いつも
ぼ<を たべようとおもって ねらっているんだ

だから ぼ<は いっつもこの
かわい<って こわいものが みえると
まるからそとにでて にげだしたいなって おもう
でも ぼ<は まるのなかからでられない




あ!
ねこが てをのばしてきた!

もうすぐぼ<に とどきそうだ!
ここから にげな<ちゃ
でも でいりぐちは まるしかないんだ
そのまるから てがねらってる
どうしよう

どうしよう どうしよう
もうそこまで きてる!
どうしよう どうしよう
すぐそこまで きてる!

ねこが いな<なったら
こんなことないのに…

そうおもったら ぼ<は
ぴか−んってひらめいた!

「ねこをやっつけちゃえばいいんだ!」

ひらめいたぼ<は
おもいっきりちからをだして
ねこのてにむかって たいあたりをした!




……。
ぼ<は ねこのてに たいあたりできなかった
でも…
ぽくは とんでいた
まるのそとで!

そんなわけで
ぼくは とべるさかなになった
これでもうねこなんか こわがるひつようが なくなったんだ
うれしいな
きょうも ふよふよ とんでるんだ
ねこからも とどかないばしょにいるから
もうあんしん
そらにだって いけるもん
ときどき ぼくは 飛行魚(そらとぶさかな)