水に棲む「幻想の卵」



1 星狩り
空が澄み渡って、星が美しく輝く夜は、星狩りたちの出勤日。星狩りたちは、地上から星鳥たちを放っては、夜空輝く星を採らせてみたり、鳥馬にまたがって、自ら星屑を集めてみたり。今宵は、年に一度の星狩りの日。思い思いのいでたちで、人々は澄んだ空へと飛んでゆく。
ある輝き星は、ダイヤモンドのよう。それとは別の輝き星は、ムーンストーンのよう。小さな星に、大きな星。まあるい星に、とげとげの星。穴のあいた星。なかでも、人々が最も欲しがる星といえば、とびきり綺麗とたたえられる、星の王様なのだ。めったに採れない星の王様を狙って、ほら、今日は朝から星狩りたちが、夕涼みの丘に集まっている。

2 夢売り

 先に説明した星は、どうなるのかというと、いくつかは、ダヴェンポートという名の、夢売りに売られていくのである。彼は有名な土地の領主であるにもかかわらず、ひとところに留まることが嫌いで、幻の鳥と騒がれている、夢鳥が生む夢の卵と、星を物々交換しつつ、旅をつ続けている。
 ダヴェンポートが売る夢の卵は、それを持った人が、見たいと望む夢を見せてくれるという、優れものなのだ。質の良い星であればあるほど、良い夢を見せてくれる卵がもらえるらしい。夢の卵は一度きりしか使えない。一度使うと、卵は割れてしまうのだ。人々は、おそらく、もう二度と飼う買うことのできないだろう夢の卵を、どんな夢を見ようかと悩み、なかなか使えない。ダヴェンポートは、一人に一つずつしか、卵を売ってくれないのだそうだ。

3 星祭の夜店

#1 星売り・島売り
 多くの人々が、集まるのを狙って、彼らはミニチュアのかわいらしい、瓶入りの星や島を売っている。時には、珍しい、掘り出し物も混じっている。星の王様に次ぐ美しさの、星の王子様。空中に浮かんでいる、小石位の島ではなく、珍しい鉱石を含んだ島などが、その一例である。

#2 装飾品店
 採取した星を加工して、美しい装飾品を作り、手ごろな値段で売っている。一級品には、透かし彫りされた見事なものもあるらしい。彼らのうちのほとんどは、星狩りたちであるらしい。

#3 鳥馬使い
 星祭の夜空を駆けたいと思う者たちのために、彼らが、鳥馬に乗せてくれる、というサービスをこの夜のみ行っている。毎年、たくさんの鳥馬が祭の夜に、飛び回っている。