朝が来ること
        睦月 かずみ
鐘がなる。
朝を告げる鐘がなる。
娘が微笑む。
鳥はやさしくさえずり、
犬は羊たちを追う。
朝日がまぶしく差し込んで来た頃、
鐘がなる。
教会では朝の集会がはじまり、
人は聖書を持って教会へいく。
街道に人が現われはじめる。
荷馬車には枯れ草がつまれ、
牛たちがそれを食む。
光が町を照らす。
鐘がなる。
人はそれを待っている。
一日の始まりを告げる鐘を待っている。
鐘打ちは人に一日の始まりを告げる。
刻はゆっくりときざみはじめ、
娘は糸を紡ぐ。
車は回り、
糸を紡ぎはじめる。
鐘がなる。